ラテングラミー2026|カロルGが7部門ノミネート——「地域の賞」ではなく言語・文化圏で評価する仕組み
更新日:10月2日
ラテングラミー賞を「中南米の音楽賞」だと思っている人は多いと思います。でも、実際はそうではありません。スペイン語とポルトガル語という言語、そしてその言語が育てた音楽文化を評価する、独立した制度です。
2026年9月16日、第27回ラテングラミー賞のノミネートが発表されました。音楽プロデューサー / 音楽グローバルマーケッターの WELCOMEMAN が、制度の成り立ちからカロルG(KAROL G)の7部門ノミネートまでを、一次ソースを確認しながら読み解きます。
「地域の賞」ではなく「言語・文化圏の賞」
ラテングラミー賞を主催しているのはラテン・レコーディング・アカデミーです。グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーとは別組織で、1997年に設立され、第1回の授賞式は2000年に開かれました。
ここを取り違えると、制度の見え方が丸ごとズレます。中南米の人だけが参加する賞ではなく、スペイン語・ポルトガル語の音楽生態系そのものを評価する仕組み。だから、スペインのアーティストもブラジルのアーティストも、米国在住のラテン系アーティストも同じ土俵に乗ります。
地域で閉じているのではなく、評価の切り口が違う。そう捉えると一気に理解しやすくなります。
第27回ラテングラミー賞の基本情報
開催日:2026年11月12日(木)。会場はラスベガスの MGM Grand Garden Arena。Univision で生中継
ノミネート発表:2026年9月16日。対象は60部門
対象期間:2025年6月1日〜2026年5月31日
最終投票:2026年10月1日〜10月12日
主催:ラテン・レコーディング・アカデミー(1997年設立/第1回授賞式は2000年)
カロルG の7部門——ただし「単独トップ」ではない
今回、アーティストで最も多くノミネートされたのは KAROL G、Rosalía、Jorge Drexler、CA7RIEL & Paco Amoroso の4組。いずれも7部門で、全員が主要3部門(Record of the Year / Album of the Year / Song of the Year)に入っています。つまりカロルG の7部門は「単独トップ」ではなく「4組横並びのトップタイ」です。
ノミネート全体の最多は、ソングライター/プロデューサーの Edgar Barrera。カロルG の『Tropicoqueta』でも Carín León の『MUDA』でも制作側に名前が並んでいて、いまのラテン音楽の裏側を一人で支えている格好になっています。
カロルG の主要3部門の中身は、Record & Song of the Year が「Coleccionando Heridas」(with Marco Antonio Solís)、Album of the Year が『Tropicoqueta』。作品そのものを評価する部門と、録音・歌唱・ソングライティングを評価する部門の両方にまたがっているのが特徴です。
番組内で保留にした点を、あとで確認しました
収録中、カロルG とブルーノ・マーズのコラボが今回のノミネートに含まれるかどうかを、その場では断定せず保留にしました。確認した結果は以下のとおりです。
楽曲は「Still」。2026年8月リリースのアルバム『No Me Arrepiento de Sentir Tanto』収録で、カロルG が全編英語で歌った初のコラボ
2026年8月15日、ロサンゼルスの SoFi Stadium でブルーノ・マーズがサプライズ出演し、初披露された
ただし今回の対象期間(2025年6月1日〜2026年5月31日)の外なので、今年の7部門には含まれない
番組では「確認できていないことは断定しない」を運用ルールにしています。結果として、収録時の判断は正しかったということになります。
「アジアングラミー」を考えるときの難しさ
ラテングラミーが成立しているのは、スペイン語・ポルトガル語という、単一に近い言語圏と、その上に積み上がった共通の音楽文化があるからです。
では同じ枠組みをアジアに持ち込めるか。ここは簡単ではありません。アジアは多言語・多文化で、日本語・韓国語・中国語・タイ語……と、言語の系統も文字体系もばらばらです。誰が審査するのか、歌詞をどう解釈するのか、投票母数をどう確保するのか。制度設計の変数が一気に増えます。
だからこそ「アジアにもラテングラミーのような枠組みを」という発想は、仮説として面白い。ただし断定せず、変数を数えながら考えるべきテーマだと思っています。
番組について
「ROAD TO GRAMMY from G Association Japan」は、音楽プロデューサー WELCOMEMAN(株式会社BRUSH MUSIC 代表)が、グラミー賞とその周辺の制度を、日本のアーティストの立場から読み解いていくシリーズです。制度を正確に知ることが、日本から世界へ出ていくときの最短距離になると考えています。
GAJ(G Association Japan)についてはこちら https://www.brushmusic.com/gaj
※本記事および動画は公開されている情報に基づく個人の見解であり、特定のアーティストや団体を批判することを目的としたものではありません。収録時点の情報を含むため、最新の情報は主催者の公式発表をご確認ください。
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